自転車保険の義務化が全国で広がる。増える自転車事故にどう備えるか?
こんにちは。今日は自転車の保険について書いていきます。
自転車事故は減少するも、対歩行者の事故が減らず
読売新聞の調査によると、全国で25自治体が自転車保険の加入を義務化(努力義務を含む)しているとのことです。
自転車は、健康的で環境にも優しく、老若男女問わずに乗ることができるので、普段から自転車を利用している方も多いでしょう。
便利で利用者が多い反面、自転車の事故が社会問題となっています。
警視庁の調べによると、2007年より自転車が関わる事故は減少傾向にありますが、対歩行者の事故はほぼ横ばいとのことです。
歩行者との事故の減らない要因は、「ながらスマホ」等の自転車に乗る側のルール違反が多く関係しているのではないかと思います。
神奈川県で元大学生が「ながらスマホ」で自転車を走行中に、歩行者の女性をはねて死なせてしまった事故をご存知の方は多いでしょう。元大学生は女性をはねるまで、女性が歩行していることに気づかなかったようです。
自転車は誰にでも乗ることができますが、ルールを守らなければ危険な乗り物です。
ながらスマホだけでなく、音楽を聴きながら走行したり、傘をさしながら走行することは危険です。
ですが、これらの危険運転行為を行っている方をまだまだよく見かけます。
このような危険な行為をしながら自転車に乗る人が多くいることが、自転車対歩行者の事故が減らない原因と言えるでしょう。
自転車事故で高額な賠償も
自転車事故を起こすと、被害者の方へ対しての損害賠償責任を負います。
過去には、小学5年生の男児が自転車事故を起こし、9500万円の損害賠償責任を命じられたケースもありました。
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男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は意識が戻らない状態となった。
神戸地方裁判所は9521万円の支払いを命じた。
「神奈川県で自転車保険の加入が義務化へ」より
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自転車保険の加入を義務化する自治体が増えているのは、このような自転車事故での賠償責任に備えるためですね。
万が一、自転車事故を起こして賠償責任を負った場合、何も備えていなければ相手に賠償金を支払うことができません。
無いところから賠償金は取れないので、被害者は身体にも心にも傷を負ったまま泣き寝入りすることになります。
そんなことが起きないよう、自転車を利用することの責任として、義務化されていない自治体の方であっても必ず自転車保険に加入して欲しいです。
自動車に乗る場合は、自賠責保険の加入が義務付けられているため、備えが全く無いということは通常ありえません。
しかし、自転車に関しては一部の自治体の条例で保険加入が義務付けられているに過ぎず、条例を定めている自治体であっても自転車保険の未加入に対して罰則を定めていません。
自転車の対歩行者事故が減らない以上、自治体に任せるのではなく、国が自転車保険の義務化について検討していくことを願います。
セクハラ・パワハラ保険の販売急増から考える企業の備え
企業内のセクハラやパワハラに備えるハラスメント保険への加入が増えているというニュースがありました。
ハラスメント保険とはどのような保険か、そしてなぜ今注目がされているのか、そこから考えるべき企業の備えについてみていきましょう。
ハラスメント保険とはどんな保険?
ハラスメント保険は、正式には「雇用慣行賠償責任保険」と呼ばれるもので、英語で「Employment Practice Liability Insurance」と言うことからEPLI保険とも呼ばれています。
企業が従業員、元従業員、これから就職予定の採用者などから不当行為で訴えられた場合の損害賠償金や訴訟費用などが支払われます。
つまり、企業が従業員等とのトラブルに備える保険です。
雇用慣行賠償責任保険の補償範囲は保険会社によって異なりますが、一般的には正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトまで及びます。
また、先ほども書いたように現行の従業員だけでなく、元従業員や採用予定者までも範囲に含まれます。
不当行為の範囲も広く、いわゆるパワハラ・セクハラなどのハラスメント行為だけでなく、不当解雇や不当評価、人権侵害なども範囲に含まれます。
そのため、この保険は「セクハラ保険」とか「パワハラ保険」とも呼ばれていますね。
経営者や役員から一般社員に対してのセクハラ・パワハラ行為だけでなく、一般社員からパート、アルバイトに向けてのセクハラ・パワハラ行為も範囲に含まれるため、従業員間でのトラブルに広く対応してくれる保険と言えます。
実際に起きたハラスメントの賠償事例
ハラスメントによる賠償請求の過去の事例は多く存在します。
例えば、管理職の人間がみんなの前で「能力がない」など激しく叱咤して精神的苦痛を訴えた例では、慰謝料200万円が支払われています。
他にも、上司が背中を殴打したり叱責しながら足で蹴るなどの暴力行為や、理不尽な始末書を書かせたとして賠償請求をした従業員は、それぞれ数十万円の慰謝料や治療費が支払われています。
ハラスメントなどの事例については、厚生労働省が「あかるい職場応援団」というサイトを立ち上げいくつか公表をしています。 これを見るだけでも様々な不当行為が存在する事が分かります。
なぜハラスメント保険に加入する企業が増えてるのか
ここ数年、働き方が多様化してきています。
グローバル化やIT化はもちろんのこと、女性の社会進出、国による政策なども要因となっています。
そのため一つの企業でも多様な働き方があったり、様々な国や性別の人が働いていたりします。
一方で、立場が異なれば意見が異なり、衝突する事もあります。
小さな衝突がいつしか大きな問題となる事もあり、その対策として中小~大企業においてハラスメントを対象とした保険への加入が加速しています。
また、セクハラに関してはSNSで「#me too」運動というのが世界に広がりました。 こちらは性的な嫌がらせなどをSNSで告白するときに使用されるハッシュタグのことです。
著名人が使用しはじめて徐々に認知度が高まっていて、昔では表に出てこなかったような問題が今では大きな問題となるケースもあります。
企業が考えるべきセクハラ・パワハラへの備え
訴訟となると費用だけではなく、会社のイメージダウンや利益の減少に繋がる可能性もあります。
また、雇用慣行賠償保険は保険会社によって補償内容は異なりますが、調査費などが支払われるものもあります。 代表や役員が気を付けていても、一般社員がハラスメント行為をしてしまう可能性もあります。
一度問題となると大きな資金や時間が必要となるので、それらに備えておくことは経営の大切なリスクヘッジと言えます。
専門的な分野のため、加入にあたっては企業のリスクマネジメントを専門とする保険代理店に相談してみると良いでしょう。